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むかしむかしあるところに
一人のお姫さまがいました。
お姫さまは冷たいお城の中で
たった一人で住んでいました
家族も家来もみんな
戦争で死にました。
お姫さまを守って
みんな死にました。

お姫さまは気が狂うほどにさみしい毎日の中で
食欲も失せ
夜も眠れなくなり
毎日泣いてばかりいました。

そんなある日
真っ赤な満月が登り始めたころ
一人の魔女がやってきてこう言いました

「かわいそうな姫よ
私はあなたに同情した。
何か一つだけ願いを聞いてやろう。」

と。
姫は涙ながらにこう言いました。


「もう一人はいやだ。」

と。

すると魔女は
細い細い三日月の晩
その願いは叶うだろうと言い残し
去って行きました。

そして細い三日月の番が訪れました。
姫が窓を開け三日月を眺めていると
1匹の黒猫がやってきました。
姫は大層喜び
猫を城へ招き入れました。

もう眠れない夜も
猫がいれば怖くなどありませんでした。

しかし一人ではないという幸せをかみしめるほど
お姫さまの心をある不安が支配するようになっていました。

そしてついにある日
その不安は爆発してしまいました。

お姫さまは
父の形見の剣を持ち
窓辺に座る黒猫にむかってこう言いました。

「黒猫よ。
お前はいつか死んでしまう。
お前は私よりも寿命が短い。
確実に私より先に死ぬ。」

黒猫は悲しそうな目をしながら
お姫さまを見つめました。

「この命は
亡き父母たちが守ったもの。
粗末に扱うことは許されないと思っていたが
もう一人になることは耐えられない。」

お姫さまはこう言い放つと
剣を自分の左胸に突き刺しました。



しかしその瞬間
黒猫は嬉しそうに
冷たく微笑んで
こう言いました。



「楽しかったわ。」



お姫さまにはその言葉の意味が理解できませんでした。


しかしあることに気がつきました。
痛いはずの胸が痛くありません。
血が滴るはずの服はきれいなまま。

そして

みんながいなくなってから
食欲が失せ何も食べていないということ
自分はしか起きていないということ





自分はすでに
死んでいたということ。




お姫さまがすべて知ったとき
黒猫がいたはずの窓辺を見ると
真っ赤な満月が
笑っていました。


2013年7月31日小説家になろう、に投稿
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無題
私は、青が大好きです。素敵な水にさそわれて
よみました。とても素敵な文章です。
お姫様は死んでいたのですか・・・以外でした。
こしま 2007/07/16(Mon)19:54:09 編集
ご感想ありがとうございます。
ご感想とっても嬉しいです。
ありがとうございます。
こういう童話的なもの書くの好きなので褒めていただけるなんて幸せです。
ぜひまたいらしてくださいね。
かすみ草 2007/07/16(Mon)21:46:55 編集
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1988/06/07
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どうも。かすみ草です。
最近は主に曲のこと書いてます。
HPと照らし合わせないと分かんない事とか多くてすんません。
たまにクソ真面目なことも書くけど気にしないであげて下さい。
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